大豆の品種は地域によって適応が異なるため、初めて栽培する際には、地域の農業改良普及センターなどから品種や栽培に関する情報をよく確認してください。
大豆は稲や麦など他の作物と輪作されることが多いので、作付け体系における役割を考え、早晩性を選ぶ必要があります。
大豆の早生品種と栽培型の特徴とは?
在来品種や特殊な品種では、補助が十分受けられないこともあるので注意が必要です。
地域別の主要品種と栽培型
品種の詳しい特性については、以下で確認できます。
「北海道」 の場合
- 主要品種は「ユキホマレ」ですが、多くの奨励品種があるので、地域や目的に合わせた品種を選びます。
- 早生で耐寒性に優れ、倒伏にも強い北海道の基幹品種
- 播種適期は5月中旬から下旬ですが、播種が遅れる場合は早生品種を選び、密度を高めて播種します。
- また、降雪害を避けるため、成熟後は速やかに収穫します。
- 最近の品種の多くは耐寒性がありますが、冷害の多い地域では、耐寒性の強い「とよみづき」や「トヨハルカ」などの品種を選びます。
- 全道的にシストセンチュウの被害が多いので、適切な輪作を行うとともに「ユキホマレR」などの抵抗性品種を選びます。
- 南部では比較的冷害が少なく、降雪もやや遅いため、黒大豆の「いわいくろ」や「つぶらくろ」、極大粒の「ツルムスメ」や「ゆめのつる」などの晩生品種も栽培できます。
- 中南部では、わい化病が発生しますが、抵抗性品種はまだ開発されていないため、多発地域ではアブラムシの防除が必要です。
「東北」 の場合
- 南北に長い地域で、県ごとに主要品種が異なります。
- 播種時期は北部で5月上中旬、中南部で5月下旬から6月上旬です。
- 麦収穫後の大豆栽培では、早生品種を選んで密度を高くして播種します。
- 北部では早生の「おおすず」や豆腐加工適性が高い「ナンブシロメ」が主要品種ですが、近年新品種「シュウリュウ」が育成されて普及が始まっています。
- 「シュウリュウ」は生育期除草剤(ベンタゾン)に感受性が高いですが、モザイク病や紫斑病に抵抗性があり、倒伏に強いため、コンバイン収穫に適しています。
- 中南部では、機械化適性の高い「リュウホウ」「タンレイ」「タチナガハ」、白目大粒の「ミヤギシロメ」などが栽培されていますが、近年倒伏に強い「あきみやび」や「里のほほえみ」が育成され普及が始まっています。
- 地域によってシストセンチュウやモザイク病などの病虫害が多発するため、病虫害抵抗性に留意して品種を選び、適切な輪作や薬剤防除を行います。
「北陸」 の場合
- 高タンパクで豆腐に適する「エンレイ」が主要品種ですが、地域によっては青立ちが多く発生します。
- 青立ちが目立つ地域では、干ばつ時の灌水やカメムシなど莢実害虫の防除を徹底します。
- 「エンレイ」の収穫時期は降雨が多いため、しわ粒の発生などの品質低下を防ぐために、成熟後は速やかに収穫します。
- 「エンレイ」の小粒化や収穫量減少が目立つ地域では、有機物の投入や深耕などのほか、農業改良普及センターなどと相談し、新品種「里のほほえみ」や「シュウレイ」への変更も検討します。
- 台風や秋の長雨で紫斑粒や腐敗粒の被害が出やすいので注意してください。
- 殺菌剤散布、播種時期の分散、熟期の異なる品種の栽培などで気象災害のリスク分散を図ります。
「関東・東山」 の場合
- 播種適期は6月中下旬ですが、「納豆小粒」や晩生の「フクユタカ」を栽培する場合は、やや遅めの7月上中旬に播種します。
- 関東地域の主要品種は倒伏に強い「タチナガハ」でしたが、近年「タチナガハ」の青立ちや収穫量減少が目立ち、新品種「里のほほえみ」に置き換えが進んでいます。
- 青立ちを避けるため、莢実害虫の防除を徹底し、コンバイン収穫時には青立ち個体を除去して汚粒の発生を防ぎます。
- 一部地域でシストセンチュウの発生が見られますが、十分な抵抗性を持つ品種は開発されていないため、適切な輪作を行い、多発圃場では栽培を避けます。
- 東山地域で多く栽培されている「ナカセンナリ」はシストセンチュウに抵抗性がありますが、モザイク病に弱いので、発生地域ではアブラムシの防除を行います。
- 豆腐加工適性に優れる新品種「すずほまれ」は倒伏が少なく育てやすい品種ですが、シストセンチュウや黒根腐病に弱いので、連作を避けるとともに、多発した圃場では栽培を行わないようにします。
- 9月下旬に長雨が続く場合、紫斑病が発生するので、殺菌剤散布などの対策が必要です。
「近畿・中国」の場合
- 主要品種の「サチユタカ」は倒伏に強く、高タンパクで豆腐に適しています。
- 温暖な地域なので、播種可能時期が6月上旬から7月上旬までと長いですが、遅播の場合は密度を高めて播種します。
- 梅雨明け後に高温・干ばつが生じやすいので、晴天が続く場合は暗渠を閉じるとともに、必要に応じて畦間潅漑で灌水を行います。
- 「サチユタカ」は褐斑が出やすい品種なので、モザイク病が多い地域では作付けを避け、アブラムシ防除を徹底します。
- 大規模化による収穫遅れが生じやすい地域では、「サチユタカ」を難裂莢化した「サチユタカA1号」を用いることで、自然裂莢や収穫ロスを抑えられます。
- 価格の高い極大粒の「丹波黒」は倒伏や病虫害に弱いので、倒伏防止のための支柱設置や病虫害防除の徹底などが必要です。
「東海・四国南部・九州」 の場合
- 主要品種の「フクユタカ」は豆腐用として評価が高く、日本で最も栽培されている品種です。
- 「フクユタカ」は晩生で倒伏しやすいため、早すぎる播種は避けて7月上中旬に播種します。
- 降雨が多く湿害が生じやすい地域なので、地域ごとにブロックローテーションを行うとともに、明渠や弾丸暗渠などで排水対策を行い、不耕起播種機などを使って適期播種に努めます。
- 早播きして生育量が過大になりそうなときは、摘心処理を行って倒伏防止に努めます。
- 播種が遅れた場合には、可能な限り早く播種する、密度を高くするなどの方法を取ります。
- カメムシやハスモンヨトウなどの虫害が激しい地域なので、適切に防除を行います。
大豆の品種を一覧で解説! まとめ
早生品種の大豆には、例えば、北海道で主要な品種であるユキホマレがあり、早熟で耐寒性と倒伏に強い特徴があります。
品種ごとの特性を理解し、栽培に活用してください。
最後までお読みいただきありがとうございました!