アーティチョークは、日本ではあまり知られていませんが、欧米では一般的に利用されています。
つぼみの一部は食用、花は観賞用として楽しまれています。
今回は、アーティチョークの学名などご紹介します!
アーティチョークとは?
アーティチョークは地中海沿岸から中央アジアにかけて原産の多年草で、カールドン(チョウセンアザミ)を改良したものとされています。
高さは1.5~2mに達し、6~8月に黄色の大きな管状花を咲かせます。
総苞片は多肉質で硬くなく、尖っていません。
別名はカールドンと同じチョウセンアザミです。
現在では、アーティチョークを食べることで血中コレステロール値が下がるとする実験結果が世界中で報告されており、高コレステロール血症の薬であるシナーラは、この植物から精製されています。
分類・名称
アーティチョーク(artichoke)は、キク科チョウセンアザミ属に属します。
同属のカルドン(Cynara cardunculus L.)とは形態的な違いがあり、アーティチョークには棘がない一方、カルドンには棘があります。
英名とその由来
アーティチョークの英名は、単にartichokeと呼ばれることが多いですが、他にもglobe artichoke、French artichoke、green artichoke、crown artichokeなどの異名があります。
英名のartichokeは中世アラビア語のal khurshuufが語源で、スペイン語のalcarchofaや北イタリアのarticioccoと変化してきました。
和名と中薬
和名はチョウセンアザミ(朝鮮薊)で、カルドンにも用いられます。
ここでの「チョウセン」は「外国の」という意味です。
生薬名は洋薊(菜薊)といい、伝統的な中薬には含まれません。
形態
アーティチョークは冬にロゼットを形成し、根出葉が約25枚程度広がり、直径は1.5mに達します。
葉は羽状に深裂し、棘はなく、裏面に細かい毛が密生して白っぽく見えます。
一方、カルドンの葉には鋭い棘があります。
春になると花茎が伸びて1m以上になり、1年目には4〜6個、2年目には10〜12個の頭状花序をつけます。
花蕾は鱗状の総苞片が包み、径は10〜15cmです。
カルドンは総苞片の先端に棘があります。
栽培
アーティチョークは地中海沿岸原産で、最適な生育温度は20°C前後です。
真夏の高温に弱く、冬は氷点下10°C近くまで耐えますが、寒冷地では防寒が必要です。
多年生草本で、種子や株分けで繁殖しますが、品質を保つためには株分けがおすすめです。
春に播種し、遅霜の心配がなくなったら定植します。
直根を持つため、移植を嫌います。
日当たりの良い場所で育て、花蕾は直径10cmほどで収穫します。
若い時期の収穫では、花蕾や花茎をまるごと食べられます。
葉を薬用とする場合は十分に展開した葉を収穫します。
アブラムシがつきやすいため、防虫ネットや台所の水切りネットで覆うと良いでしょう。
人との関わりの歴史
アーティチョークに関する記述は、古代ギリシャのテオフラストス(紀元前371-287)がイタリアとシチリアでの栽培を記録したことにさかのぼります。
ディオスコリデス(紀元40-90年頃)や大プリニウス(紀元22/23-79)は、カルドンとアーティチョークの催淫作用や男子の産み分けに言及しています。
それに怒ったゼウスは、キナラをアーティチョークに変えてしまったとされています。
アーティチョークを有名にしたカトリーヌ
800年代初頭にはアラブ系の人々によってスペインやイタリアに持ち込まれ、栽培が広がりました。
そのため、アラビア語を起源とするアーティチョークの名称が普及しました。
彼女は催淫作用があるとされるアーティチョークを初夜に食べ過ぎたという逸話があります。
また、カトリーヌはフォークやアイスクリーム、マカロンなどもフランスに導入しました。
日本には、カルドンが江戸中期に、アーティチョークが江戸末期にオランダから渡来しました。
薬効と利用
アーティチョークの薬効に関する研究は、1930年代から肝疾患や動脈硬化との関連で始まりました。
1954年にPanizziらがアーティチョークからシナリン(cynarin)を分離し、以降、多くの研究が続きました。
以下は主要な研究成果です。
アーティチョークには名前が多い まとめ
アーティチョークは観賞用や野菜、化粧品、石けん、サプリメントとして利用されています。
また、葉は苦味の強いティーとして、ベトナムでは花蕾や根が苦味の少ないティーとして利用されます。
イタリアではアーティチョークを用いたシナール(cynar)というリキュールもあります。
庭に一本あるだけで、さまざまな楽しみ方が広がります。
最後までお読みいただきありがとうございました!